大イベントさながらの飲酒
お客さんに体の心配をしていただきながら、楽屋開店中。処方されている薬が合っているようで、咳も動悸もまったくおさまり、体調はすこぶる良好。この調子ならまだまだ楽屋も続けられるはずなので、無理せずのんびりと開けようと思う。いつも気遣って下さる皆さん、ありがとうございます。
4/30(火)。48日ぶりに飲酒をしてみる。心臓の病気を得て、酒を飲んではいけない体になったわけではないが、この際体をきれいにしてみようかと思い、しばらく酒をやめていた。わたしの飲酒史上、おそらく初めてとなる約ひと月半の断酒は、心身ともに意外なほど良い成果をもたらした。当然のように二日酔いにはならないし、常に頭は正常に働き、体もだいぶ軽くなった。それまでいかに惰性で酒を飲んできたのかもよくわかった。飲まれた酒にも申し訳ない。酒に対する感覚がだいぶ変化し、これからもっとうまく酒とつき合えるような気がする。酒のない生活に慣れたものの、やはりいつかは再開したいとも思っており、ふとこの火曜に飲んでみようと思い立つ。飲んでみることを決めた前日よりどのように飲むかを熟考した結果、まず家で寅さんを観ながらひとつ飲んで、むらさきでひとつ、もし余裕があればクリームでひとつとすることに決定。夕方、家で28作目を観ながら500ml缶のグレープフルーツ酎ハイ。本当に久しぶりのことで何やら緊張すらしたが、実際に飲んでみると大した感動もなし。並行して飲んだノンアルコールビールの方が、ゴクゴクとうまく飲めたくらい。酒をやめていた間に、すっかりサントリーのオールフリーが好きになってしまった。28作目「寅次郎紙風船」も、わたしの大好きな作品のひとつ。マドンナ音無美紀子の切ない演技の見事さもさることながら、岸本加世子、地井武男の兄妹役のふたりも実にいい味を出している。見終わるころに、まだ少し酎ハイが残っていたのがちょっと信じられなかった。今までなら、寅さんの夢が終わって主題歌が始まるころには2本目か酒になっていた。これをほろ酔いというのかなあという状態でむらさきへ。常連の職人さんがいつものように静かに飲んでいた。お母さんのキンピラゴボウとウコギのごま和えをつまみながら、初孫の燗。この酒はうまいと思った。不意にラジオからドナルド・フェイゲンの「I.G.Y」が流れて、しばしいつもとちがう雰囲気の店内となる。あまりじっくり話したことのなかった静かな職人さんと、初めて音楽の話をする。この人に楽屋でビリー・ホリデイを聴いてもらいたいと思った。むらさきでは、燗酒をお願いすると小さな徳利が2本供される。この2本を飲んで、酒に酔った状態を思い出す。やはりクリームへハシゴ。久しぶりにロックを聴きながらホッピーを飲んでみたかった。この日のクリームは、折よくmieさん特製の〆サバサラダがある日で感激。キンミヤで黒ホッピーをやってみると、不思議なことに、あまりうまくない。悲しいようなうれしいような、退化したような成長したような、不思議な感覚。mieさんの出してくれた〆サバサラダとホルモンは実にうまかった。音楽は、何を聴いたか残念ながら失念。クリームは、音楽より会話が楽しいことの方が多いような気がする。この場末のスナック的なところもクリームの魅力のひとつだと思う。この夜も、茂さんやはるさん、中山くんとあれこれ話し、楽しんだ。会話の内容はあいにく覚えていない。飲んだ酒は、結局ホッピー1本分のキンミヤと芋焼酎の水割り1杯だった。予定より、やや過剰摂取。飲んだ翌日、たががはずれたようにまた飲み始めてしまうのではと少し心配だったが、まったく必要ではなかった。どうやら依存症ではないようなのでうれしかった。次回いつ飲むかは未定だが、楽しみではある。
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