京都〜大阪〜金沢

2/4(土)。高速バス、上越新幹線、東海道新幹線と乗り継いで京都に入る。本来なら、新潟から急行「きたぐに」の寝台に乗って日曜の朝京都に着く予定だったが、大雪のせいで運休の可能性が高まったため、急きょ予定を変更しての前日入りになった。3月でなくなってしまう「きたぐに」にもう乗れないかと思うと、雪がうらめしくてならない。「きたぐに」同様、青森~大阪間のブルートレイン「日本海」も3月に定期運行が廃止されることになっていて、何ともさびしい限り。2/5(日)。京都木津川マラソンに参加。京都は快晴、絶好のマラソン日和となり、とても気持ちよく走れた、前半までは。雪のない道のありがたみをかみしめる余裕もせいぜい半分くらいまでで、後半はやはり地獄が待っていた。しかし今回は初めからペースをじっくりおさえていたせいか、さいわい足のけいれんもなく、気持ちも折れず、途中ストレッチをくりかえしながら、何とか歩かずに最後まで走り通すことができた。5時間54分というタイムはともかく、とにかく歩かなかったことがうれしかった。最後の5kmの苦しみは、途中歩いてしまった去年のつらさの比ではなく、ほとんど意識ももうろうとしていたような気がする。ゴールしたときの感動は、意外なことにあまりなかった。大変なトラブルからやっとの思いで抜け出せたような、ただただほっとした感じだった。42kmを走るというのがどういうことなのか、何となくわかってきたのが今回の一番の収穫。夜、村上から一緒に参加したおふたりと打ち上げ。静、スタンド、ろくでなしとハシゴして、酩酊状態におちいる。去年は精神的ダメージが大きかったせいかほとんど飲めなかったというのに、今回は全身痛くて歩くのもおぼつかないわりには酒がうまくてしかたなかった。わたしにとって京都で欠かすことのできないろくでなしでは、マスター横田さんもあいかわらず元気に飲んでいて何より。しかも楽屋開店前の修行時代にお世話になった常連キシさんとも久しぶりに会えて感激だった。別で友人と飲んでいたアンニャも合流して、さらにラム酒を痛飲。のちほど、アンニャに甚大な迷惑をかけることになる。2/6(月)。朝起きると、当然のように極度の二日酔いと全身の筋肉痛。足腰だけでなく、腕や肩、背中まで筋肉痛になったのは生まれて初めてだったかもしれない。昼から何とか起き出し、河原町三条ブーツィーズレコードにて猟盤。毎回何かしらの収穫があるブーツィーズだが、今回も手ごろな値段で7枚ほど獲得。とくに、キャプテン・ビーフハートの「美は乱調にあり」、安田南の「サニー」、ダニー・ハサウェイのセカンドの発見がうれしかった。夜、学生時代からの同志サラマッポが大阪から出てきてくれ、ろくでなしで飲む。横田さんに前日のへべれけをわび、この日はおとなしくビールで通す。サラマッポと会うのはおそらく7,8年ぶりのことで、お互い積もる話を語り合った。サラマッポとはやはりろくでなしで飲むのが一番楽しい。途中、前日気付かなかったチラシをトイレに発見。浅川マキの未発表ライブ音源で「スキャンダル~京大西部講堂1982~」というCDが京都の小さなレーベルから出ていて、ろくでなしでも販売中という。即刻横田さんに問いただし、購入。さっそく横田さんがかけてくれたが、テンションの高さと音質のよさに驚く。京都は浅川マキともつながりが深く、こんな不意な発見があるのも大きな魅力のひとつ。2/7(火)。阪急電車に乗り、大阪へ移動。初めて天下一品北新地店に入り、初めて見かける「細麺」をこってりで注文。博多のような細麺で悪くはないものの、やはり天一は通常の角張った中太麺の方がいい。ただしスープは充分濃度があり、満足だった。中之島にある国立国際美術館で、草間彌生展。色彩豊かな前衛的な作品に圧倒される。夜、しおさんいしさん宅に初めてお邪魔して、ご馳走をふるまってもらう。最近はまっているという塩麹に漬けた焼き鳥をふるまってくれて、これがめっぽううまかった。帰宅後試すこと必至。ご馳走もさることながら、何より圧巻だったのはいしさんのCDと書籍の量と質。マニアックな音楽とマニアックな本とで、ひと部屋がうまっていた。あの部屋にいれば何時間でも過ごせることまちがいなし。完走祝いとのことで、てぬぐいとCD、本までプレゼントしていただき大感激。しおさんいしさん、ごちそうさまでした。2/8(水)。大阪から金沢へ。関西とはうってかわっての雪景色で、寒い。金沢を訪ねるのは2回目だったが、前回はほんの数時間の滞在だったので、実質初めてのようなもの。21世紀美術館で、粟津潔の映像作品「ピアノ炎上」(1973年)を観て、度肝を抜かれる。山下洋輔がめらめらと燃え上がるピアノを弾きまくるという衝撃的な映像で、しかし音色はまったく山下洋輔特有の迫力にみちた繊細なものだった。この作品は常設展示ではないのでとてもラッキーだった。ジャズ喫茶「もっきりや」に寄って小休止。2度目だったが、やはり居心地のいい店だった。石川出身の浅川マキもこの店で歌っており、彼女みずから書いた「死春期」の歌詞が飾られていた。夜、セトくんと久しぶりの再会。仕事で村上滞在時ひんぱんに楽屋に来てくれていたセトくんは、今金沢で家族と幸せに暮らしている。彼の案内で、個性的で小さな飲み屋がたちならぶ「味楽街」の中の「うまいぞいや哲」。カウンターのみで6人も入ればいっぱいになる極々小さな店で、ところせましとアニメの本やDVDがつまれており、カウンター内の大きな画面では目の大きな少女が出てくるアニメが流れている。腹をすかして入った1軒目だったので、入ったときはセトくんのガイドセンスをうたがってしまったが、実はマスター哲さんの料理はどれもじつにうまくて、すぐにアンニャともども気に入ってしまった。しめていないサバの刺身、揚げたてのアジフライが劇的にうまい。しかも哲さんの強烈なプログレマニアぶりにも驚いた。クリムゾンや地元金沢のプログレバンドの映像をあれこれ観せていただき、料理と酒を音楽を存分に楽しんだ濃厚なひと時だった。ジャズ喫茶「穆然(ぼくねん)」、ジャズバー「ラファロ」とハシゴ。穆然はわりと新しい大きめの店で、カウンターでゆっくりジャズを楽しむのに適している。ラファロはもうだいぶ前からある老舗で、今回初めて行くことができた。スナックがつまったビルの6階にあって、やや高級感のある店だが、読書家のママさんの歯に衣着せぬお話がとても魅力的。きれいに棚に収められたレコードの数もかなりのものだった。セトくんいわく、まだまだおもしろいところがあるそうなので、また必ずや金沢を訪ねたいと思う。2/9(木)。まだまだ雪が降り続け、予定の電車が運休となる。特急「はくたか」で越後湯沢に行き、そこから新幹線をのりついで、何とか新潟にもどる。中身は濃厚で存分に楽しめたものの、行きも帰りも列車運行の不具合に悩まされ、なかなか気苦労の多い旅となってしまった。その後の楽屋の水道凍結問題などもあり、結局のところ、この時期の遠出は控えるのが正解なのかもしれないと、つくづく思った。木津川マラソン会場。手作りのほのぼのした雰囲気がいい。来年も出たいが、天気が心配。
 
京極スタンド。昼から地元の飲ん兵衛でにぎわう。
この日もろくでなしでは浅川マキが流れていた。
 
3軒行った天一のうち、京都南座前店と京極店のどんぶりがなぜか赤かった。大阪北新地店で通常のどんぶりでほっとする。
草間彌生展「永遠の永遠の永遠」。
金沢21世紀美術館。このプールが人気作品のひとつ。
金沢片町の味楽街。入ってみたい店がたくさんあった。
「うまいぞいや哲」のカウンター。

楽屋 GAKUYA

お酒とコーヒーと音楽の店【楽屋】です。 ホームページの引越しをしました。 新しいアドレスは以下の通りです。 よろしくお願いいたします。 https://ekimae-gakuya.jimdofree.com