2012年の楽屋的音楽考
うかうかしている間に2012年が終了。さまざまな出来事が起こり、すばらしい1年だったとは言いがたい。何とか楽屋も続けてはいたが、気乗りのしない日もあり、どうもよくなかったと思う。今年はみずからもっと楽屋を楽しみたい。2012年の楽屋的音楽事情をふりかえると、少しではあるがやはり変化はあった。まず、ロックをかけることが増えた。というより、ロックをかけることに対する抵抗がうすれてきた。楽屋は「ジャズの店」としてとらえられることが多く、自分の中でもそういう意識が強かったせいか、どうも楽屋でロックをかけるのに抵抗があった。音楽のジャンルわけを不毛なものと思っているわたしにとって、こういう意識は決して適切ではなかった。そのくせロックのレコードは少なからず棚にしのばせてあり、週末の夜ふけなどは少数精鋭のマニアとひそかに大きな音でロックを聴いていたのだから、これではロックに対するえこひいきであり、差別でもある。そのことから、楽屋のマスターは実はジャズがきらいという説も立ったくらいだ。最近になってよく思うのは、ジャズもロックも共通した音楽であり、ジャンルなどどうでもよく、結局好きなものは好きということ。そういう気持ちで、最近素直にロックもかけることができるようになったのだと思う。早い時間にはあまりかけないけれど。などと言ったはなからジャンルを持ち出すのは恥ずかしいが、2012年はレゲエをはじめていいと思えた年でもあった。つよしくんが持ってきてくれたジミークリフの「Harder They Come」がきっかけだった。ボブマーレイの「Catch A Fire」が唯一楽屋にあるレゲエだったが、あまりピンと来ていなかった。ところが、このジミークリフのアルバム、とくにクラッシュもカバーしている名曲「Pressure Drop」を聴いて、すっとレゲエに入って行けた気がする。タイトル曲「Harder They Come」もとてもいい。この曲を聴いて、ジョーストラマーがカバーした「Harder They Come」のEP盤も入手。これまた名演。ジョーストラマーをもますます好きになった。浅川マキはあいも変わらず日常的に聴いているが、70年代作品を主に聴いていた以前より、80年代以降の前衛的な作品も好んで聴くようになった。それこそジャンルなどでは到底くくれない浅川マキの音楽は、とてつもなく深い。今月17日で、浅川マキが急逝してからはや3年が経つ。17日は「MAKIな夜」と銘打って、朝まで彼女の歌声を聴きまくる予定。
0コメント