飯ずし

1/15(水)。本来なら成人の日。水曜日が祝日であれば、火曜の夜に一緒にゆっくり飲める人もいるというのになどと、またしてもハッピーマンデー制度の弊害を感じてしまう火曜休みの飲食店主とはわたしのこと。

年末に飯ずしを作ってみた。9年ぶり、2回目。村上の鮭料理のひとつで、好き嫌いがこれほど極端にわかれる食べものというのもめずらしい。実のところ、わたしもずっと大嫌いだった。それが、30歳ころから大好きになったのだから不思議なものだ。9年前、近所の木村さんに教わって一度作ってみたことがあるが、何せ手間がかかるので、しばらく敬遠していた。今回久しぶりに作ってみようと思い立ち、そのときのレシピをひっぱり出し、記憶がおぼろげなところを木村さんに再度確認して、2度目の挑戦を試みた。炊いた米と糀(こうじ)をあわせたものを温めてべちゃべちゃに発酵させ、細かく切って下ごしらえした塩引き鮭、大根、にんじん、はらこ、かずのこ、青豆、ゆずと一緒に笹のしいたかめに詰めて、寒いところに2週間ほど放置する。米と糀がなかなかうまく発酵せず、失敗かもしれないと思いながら詰めたが、結果、わりといい感じになれてくれたのでほっとした。この夜、飯ずしが好きだというお客さんと飯ずし談義になった。そのお客さんも自分で作ったそうで、うおやの味には遠く及ばないと嘆いていた。うおやの飯ずしがうまいというのは知らなかった。飯ずし談義になると、まずまちがいなくどこの糀を使うかという話になる。その人は羽黒町の鈴木こうじ店の糀を使ったと言い、わたしは塩谷の奈良橋醸造の糀を使った。飯ずしにはきっかわの糀を使うべしという、格言のようなものが村上にはある。その昔父も母にきっかわに糀を買いに行かされ、並んでまで手に入れたらしいが、わたしのもっとも好きな飯ずしをこしらえるむらさきのお母さんは、糀は安いのでもかまわないとことあるごとに言っている。それを聞いて、わたしは今回スーパーで気軽に買える奈良橋の糀を使ったのだった。きちんと甘みも出て、自分では満足いく味になったので、やはり糀の銘柄より、発酵の仕方や漬かり方の方が重要なのだろうと思う。

楽屋 GAKUYA

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