ギターギターギター11

11/29(木)。

今年も年末恒例のお歳暮発送のアルバイトが始まる。昼夜労働は肉体的にかなりこたえるが、毎年この時期は「まっとうな社会人」感が高まり、精神状態はわりといい。月末まで送り間違いのないようにしっかり勤めたい。


午後、坂町に27日開店したという「ラーメン真(しん)」に行ってみる。ラーメン二郎のインスパイア系と聞いて期待して行くと、ボリュームもあり、なかなかうまかった。二郎の決まり文句が「ニンニク入れますか?」なのに対し、こちらは「ニンニクのトッピングはどうされますか?」。やはり二郎は意識しているようだ。スープがやや甘めで、「やさしい二郎」という感じ。パツパツの極太麺もいい。二郎と比べること自体が野暮だとも思うが、こういうタイプは村上には今までなかったのでうれしくなる。また出かけたい。

12/2(日)。

午前、村上教育情報センターにて、映像から暮らしと環境を考える会主催の下期上映会。今回の上映作品は「映画日本国憲法」で、米国のジャーナリスト、ジャン・ユンカーマンが監督した2005年公開の日本映画。舞台袖での上映係だったため全編を観れたわけではないが、日本や中国、韓国、米国など出身の12人の識者のインタビューは、どれも一聴に値するものばかり。改めて腰を据えてじっくりと話を聴きたい作品。米国の政治学者、ダグラス・ラミス氏の「日本国憲法は、アメリカに押し付けられた憲法ではなく、日本国民が日本政府に押し付けた憲法だった」ということばが印象的だった。


夜、楽屋にて、11回目となる「ギターギターギター」開催。鶴岡のギタリスト、岡部繁さんがふらりと電車でやって来て、楽屋の本棚の前で演奏してくれたのが、たしか2007年か2008年ころだったと思う。その岡部さんが山形のギタリスト星野輝久さんとボーカルの井上優子さんと、やはり山形のギタリスト児玉知道さんを招いて、3人のギタリストで「ギターギターギター」というオムニバスを開いたのが、2008年6月のことだった。あれから早10年。今年も11回目になる「ギターギターギター11」が、3組のミュージシャンによってくりひろげられた。

去年より村上ボッサクラブのお三方にも参戦いただき、ますます濃厚で楽屋的なライブとなっていると思う。今回は岡部さんとの共演者に、ピアニストでありボーカリストの宮林亮至さんが初めて来演してくださった。


トップバッターに、ギターと歌のさくちゃん、ベースの東さん、ドラムスの茶さんから成る村上ボッサクラブ。勝手ながら、もはや楽屋のハコバンと呼ばせていただくことにする。今回は東さんが全編アップライト・ベースで演奏。とてもいい。

続いて、星野さんと優子さんのデュオ。クラシックギターと迫力あるボーカルの絶妙なコンビネーションもさることながら、山形弁での軽妙なトークもこのデュオの楽しみのひとつ。

しんがりに、岡部さんと宮林さんのデュオ。岡部さんのクラシックギターは相変わらずアバンギャルドでかっこいい。

岡部さん宮林さんのデュオに茶さんが加わり、「Blues for Hiro」。酒田のライブハウス、ブルース・ヒロに捧げた岡部さんのオリジナル。茶さん、ジャズマンになる。宮林さんの歌う「雪の降るまちを」が素晴らしかった。

最後に、ミュージシャン全員でのセッション。ここまで盛り上がったギターギターギターは今までなかったかもしれない。

12/4(火)。

自宅にて、ごま坦坦鍋。甲類焼酎の炭酸割りを飲みながら、土曜日に録画しておいた漫才イベント「M1グランプリ」を観る。初めて観る霜降り明星が最年少優勝を果たす。個人的には和牛に優勝してほしかったが、今年もあえなく準優勝に終わる。和牛の準優勝は実に3年連続のこと。7人の審査員の判断で決めるのは、かたよりが出るような気がしてならない。

12/8(土)。
真珠湾攻撃の日であり、ジョン・レノンが殺された日であり、アントニオ・カルロス・ジョビンの命日。ジャズが好きな洋子さんのお誕生日でもあり、太平洋戦争の開戦の日ということで洋子と名付けられたという。日本が狂っていた時代のことだ。

村上に今季初めて雪が積もる。朝日村の友人宅へ卓球をしに出かける約束があったので、あわてて自動車のタイヤをスタッドレスに交換。

午後、高校時代の卓球部同期が集まり、何年ぶりかにまともに球を打つ。中国の許昕(Xu Xin・きょきん)をまねて、中国式ペンの裏面にもラバーを貼ってみたが、裏面で打つのはなかなかむずかしい。これからまた卓球を生活に取り入れてもいいと思う。
12/9(日)。
「Cheeky Chappie」の皆さんによる楽屋生音日曜版。秋の竹灯籠祭りで西真寺を沸かせた「アカネwith竹灯籠スペシャルトリオ」が名前を変えて、楽屋生音日曜版に初参戦。アカネさんのボーカルに、ギター、ウッドベース、カホンという編成でジャジーな曲々を聴かせてくれた。ジャコ・パストリアスの演奏で知られる「ザ・チキン」から始まり、「ウイスキーがお好きでしょ」、「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」、「色彩のブルース」などなど、おそらくリーダーの中野さんの趣向と思われる多彩な選曲がおもしろかった。
12/10(月)。
おふみさんより万代シティバスセンターのカレーの差し入れあり。テレビで紹介されて以来、このレトルトカレーが相当な人気だという。ひとり5つまでという張り紙があったとおふみさん。レトルトで500円以上という値段も破格だが、通信販売のAmazonでは何とひとつ1380円で売られている。狂気の沙汰だ。おふみさん、貴重な品をありがとうございます。
12/11(火)。
午後、新潟。Tジョイ万代にて絶賛上映中の「ボヘミアン・ラプソディ」を観る。最近になってクイーンに興味がわいてきたわたしであるが、この映画はすごかった。フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックをはじめ、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンと各メンバーを演じた若い役者陣が実に素晴らしかった。ラストの「ライブ・エイド」のシーンが圧巻。音は実際のクイーンの演奏のものとのことだが、メンバー4人がまったく違和感なく演じていたのがすごい。 クイーンというバンドの成り立ちを少し知ることができて、音楽にもさらに興味がわいた。同性愛の生々しい描写には、正直とても複雑な気持ちになった。悲しいかなそのシーンに目をそむけたくなる自分がいることに対し、まだまだ偏見がしみついているのだなと実感する。同性だろうが異性だろうが、愛しあうことに何らちがいはないという認識がきちんとできるような教育を受けたかったとつくづく思う。

夜、西堀「いっこう」。ポテトサラダや洋梨の白和えなどで、滋賀の「笑四季(えみしき)」、妙高の「鮎正宗」、山形の「鯉川」などを冷やで飲む。相変わらず居心地がよく、幸せな気分になる。
12/12(水)。
母の実家より、叔父の獲った鮭が4尾届く。カナ(雄)とメナ(雌)が2尾ずつ。メナの腹から産卵寸前のハラコがバラバラと出てきて、すぐに熱湯処理して、醤油漬けにする。メナの身は味噌漬けと塩麹漬けにし、カナは塩引きに。1週間後に塩抜きをして、あとは年末まで北風に熟成させてもらう。年末年始、村上ではかかすことのできない塩引き鮭。今年も三面川の恵みに感謝。おじちゃん、毎年ありがとうございます。
12/14(金)。
同い年の友人が「電池入れたらちゃんと動いた」と、ゲームウォッチの「オクトバス」を貸してくれる。わたしが小学生のころ大人気を博したゲームウォッチを、まさかこの歳になってあらためて手にすることができるとは。昔の記憶がぶわっとよみがえり、うっすら鳥肌が立つ。「GAME A」のボタンを押してゲームを始めてみると、「ピピピピピ」という音とともに、巨大なタコの足が伸び縮みする。潜水夫がかわいくてならない。得点したいという気持ちはほとんど起こらず、ただこのシンプルな図柄にひきこまれる。ゲームそっちのけで、潜水夫の動きを堪能する。裏面を見ると、「©️Nintendo Co.Ltd 1981」とある。1981年。何と37年前のゲーム機がまったく異状なく機能している。友人のもの持ちの良さに、ただただ脱帽。
NHK第1の夕方の番組「くるり電波」で、Beck, Bogert & Appiceの演奏する「迷信」が流される。かっこいい。楽屋にもお客さんの寄贈盤でこのレコードがあるが、実はまだあまり聴いていない。夜、この盤を改めて聴くと、やはりいい。ジェフ・ベックのギターボーカル、ティム・ボガートのベース、カーマイン・アピスのドラムによるシンプルなロックトリオ。
12/15(土)。
ベーシスト東さんからCDの差し入れあり。新潟のジャズトリオ、Atagiin(アタジーン)が1999年に録音した1stアルバム「ロンド」。何ということだ。わたしがずっと探していた入手困難なCDをいただけるとは。2ndアルバム「フェベレイロ」を十数年前にお客さんにいただいて、アタジーンのファンになって以来、ピアニストで作曲者の田中俊幸さん、ベースの永井孝さんには楽屋にも来演いただいており、ドラムス安宅稔さんのジャズ喫茶、けやき通りの「カフェ・ド・ラペ」には何度かお邪魔して、ことあるごとに1stアルバムは手に入らないのか尋ねていたが、まったく入手できる見込みはなかった。それがこのようなタイミングで東さんからいただけるとは、まったく誰が予想し得ただろうか。さっそく聴いてみると、1曲目からいい。どちらも田中さんによるピアノとアコーディオンの演奏の多重録音だろうか。こった音作りで、田中さんのセンスの良さがうかがえる。クレジットによると、1曲ジムホールの曲をのぞいて、あとはすべて田中さんのオリジナル。2枚とはいえ、しかもいただいた盤とはいえ、アタジーンをコンプリートしたこの喜びは大きい。東さん、ありがとうございます。

楽屋 GAKUYA

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