雷風海南鶏飯

1/7(火)。楽屋の常連さんであったセトくんが金沢で先月お店を出したので、激励に出かける。昼過ぎに金沢に着き、まずは浅川マキの墓参り。ようやく見つけた墓は、とても小さく、ただ静かに雨に打たれていた。彼女がライブ中に吸っていたピースライトを供えて、しばしぼう然とする。この墓にミチロウさんも訪れたのかと思うと、よけいに寂しくなる。この1月17日で、はや10回忌。地元金沢でも追悼ライブが開かれるとのこと。


街なかへ向かう道すがら、「レコード・ジャングル」に立ち寄り、猟盤。ものすごい量にたじろぐ。フリートウッド・マック「噂」、ザ・ヘア「R&B天国」、イオン・ペトレ・ストイカン「これぞルーマニアン・ジプシー・アンサンブル」のCDを購入。

夕方、「ゑびす」というおでん屋で少し飲んでから、セトくんのお店「雷風海南鶏飯(ライフーハイナンジーファン)」。清潔な店内と服装で、セトくんは奥さんとふたりでがんばっていた。看板メニューのシンガポール流チキンライス「海南鶏飯」をお願いして、ビールを飲む。早くもいい常連さんに恵まれているようで、その方々とも村上や酒の話で盛り上がる。村上好きのセトくんらしく、大洋盛の紫雲をレギュラーメニューに配しているのが村上人としてうれしくなる。丁寧に盛りつけられた海南鶏飯が供された。やわらかい鶏肉と鶏だしで炊かれたジャスミンライスがとてもうまい。中国南端の海南島出身の華僑が各地に広め、シンガポールでは国民食となり、タイではカオマンガイと称される、東南アジア全域で人気のある鶏ごはん。東京には専門店があってだいぶ市民権を得ているようだが、金沢でもぜひ人気料理となってほしい。店名に冠された雷風(ライフー)は、名字の瀬戸の中国語読みライフーとかけた、セトくんの遊び心。

閉店後、セトくんと常連さんがわざわざわたしに付き合ってくださり、3人でジャズ喫茶YORKへ。3度目の金沢でようやく行くことができた金沢随一の老舗。入った瞬間、あまりの良さにウワと声が出る。京都にろくでなしあり、新潟にUFOあり、金沢にYORKあり。絶妙な明るさの照明。年季の入ったカウンターは、理想的な高さで座り心地がいい。そしてママさんがことごとく気持ちいいジャズをかける。オリバー・ネルソンのリーダー作でエリック・ドルフィーが参加している「Screamin’ the blues」がいい。金沢人気質や金沢の高級食材、加能(かのう)ガニや香箱(こうばこ)ガニなどの話で盛り上がる。

楽屋 GAKUYA

お酒とコーヒーと音楽の店【楽屋】です。 ホームページの引越しをしました。 新しいアドレスは以下の通りです。 よろしくお願いいたします。 https://ekimae-gakuya.jimdofree.com