酒田歩き
5/1(火)。鶴岡から酒田まで歩く。約32km。所要時間、7時間34分。4月に鼠ヶ関から鶴岡まで歩き、歩き旅を再開。2011年新潟県を縦断して、2012年福島まで歩いてから、心臓を壊してしまい、しばらく長距離を歩くことを避けてきたが、一度に歩く距離を短くして今年からまた再開することにした。今年は鼠ヶ関から北上する予定。
朝、村上から電車で鶴岡まで行き、9時に歩き始める。鶴岡市内の車道から赤川沿いの道に避難し、静かな道を気持ちよく歩く。初めてまじまじと見る赤川にいやされる。三面川を少し大きくしたような、美しい川だった。
少し欲を出して、庄内町の中心、余目経由で歩くことにする。海沿いの最短距離だとおそらく22〜23kmくらいのところ、羽越線沿いに歩くと少し遠回りになる。昼食に庄内の有名店ケンチャンラーメンで食べてみたくて余目の方へ遠回りしたのだったが、なんと振替休日。ややダメージを受けながらも気を取り直して、近くに見つけた喫茶店で日替わりランチ。とてもうまくて健康的な食事で、ラーメンよりかえってよかったかもしれない。
酒田市に入るちょっと手前で、最上川が現れる。でかい。庄内大橋の上で、しばしぼーっと川を眺める。
暑い日だったので、思ったよりつらい。暑さのせいではなく、体力不足が本当の原因だろう。鶴岡酒田の郊外は田んぼが多く、ここが庄内平野だろうかと思いながら、のどかな農道をのんびり歩く。
17:35、酒田駅着。駅を見つけるこの瞬間がいつもうれしい。汗を流すべく、街の中心部にある宿を目指す。
宿に向かう途中、気になる酒場を発見。その名も「とらさん」。今回は少し宿より離れるので、またの機会にすることに。
夜、行ってみたかった「久村の酒場」へ初めて入る。何ともしぶいたたずまい。しかし中はお客さんであふれ返っており、残念ながらあまり落ち着いて飲むことができなかった。ビールひとつと初孫をふたついただいて、退散。「自慢あげ」という厚揚げがうまかった。
数回行ったことのあるジャズバー「リバティー」へはしご。相変わらず、居心地がいい。カリラを飲みながら、マスターご夫婦とあれこれ話す。ママさんの庄内弁にいやされる。看板猫の龍之介くん10歳も元気で何より。
5/2(水)。午前、土門拳記念館。前日歩いていて路上のポスターで知った特別展『昭和の目撃者〜林忠彦vs土門拳』を観る。著名な作家や役者を、林忠彦と土門拳がそれぞれ写した写真が2枚ずつ並べて展示してある。同時代に活躍したふたりが、それぞれの視点で撮った同じ被写体の写真。その写真についてのエピソードもそえられてあるが、ときには注文を出しすぎて作家から激怒されることもあったという。仕事で写真を撮るというのは、とくに人物を写すというのは、相当大変なことなのだろうと初めて思った。この記念館の庭からは運がいいと鳥海山がきれいに見えるが、あいにくこの日はまったく見えなかった。この庭で食べた庄内米「つや姫」のおにぎりが実にうまかった。
午後、電車で酒田から鶴岡へ戻る。前日歩いた道を窓から眺めながら、40分たらずで到着。宿に荷物を置き、バスで中古レコード店「CD Brain」を目指す。先月リニューアルオープンしたばかりの老舗のレコード屋で、セール中のためか、えらく安く売られていて驚く。約1時間、ゆっくり物色し、レコード5枚+CD4枚を購入。合計4370円。
夕方、新潟から電車でやってきたアンニャと合流。駅前の居酒屋「滝太郎」で夕食。うるいの天ぷらを初めて食べたが、うまくて意外だった。久しぶりに食べたしどけもよかった。
駅前からふらふら歩いて中心街を目指す。七日町通にある「南蛮居酒屋やぐ」に入ってみる。年配のご店主がひとりで切り盛りする老舗のバー。ワイシャツに蝶ネクタイというピシッとした装いのママさんは、今年82歳という。お薦めのカクテル「スカイ・ボール」がうまい。鶴岡に来たらぜひ寄りたい店となる。
銀座通り「Bar ChiC(シック)」へはしご。ジャズのライブを催しているバーで、名前は知っていたが入るのは初めてだった。名前の通り、とてもシックなバー。ちょうどこの5月と6月に、4月と5月に楽屋で演奏したミュージシャンがライブをするというのも、何だかうれしい。いつかこの店でライブも観てみたいと思う。
5/3(木)。あいにくの雨。「鶴岡まちなかキネマ」でドキュメンタリー『世界一といわれた映画館〜酒田グリーンハウス証言集』を観る。1976年に火事で焼けてしまった、グリーン・ハウスという酒田の映画館にまつわるさまざまなエピソードがおもしろい。映画を楽しむだけではなく、ショッピングや喫茶など、娯楽複合施設の先駆けのような存在だったというグリーン・ハウス。燃えていなければ、今ごろはどんな映画館だったのか。一度行ってみたかった。
鶴岡の映画館「まちなかキネマ」にも初めて行ったのは収穫だった。街の小さな映画館かと思って行ったら、スクリーンが4つもある映画館で、たくさんの老若男女でにぎわっていて驚いた。鶴岡がこんな元気な街とは知らなかった。これからもっと知りたいと思う。
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