ミチロウさん

4/28(日)。
昼、「しおやでジャズ」を聴きに行く。塩谷のマルマス蔵で去年初めて開催されたジャズライブで、今年は去年以上の大盛況だった。醤油を作っていた蔵でのライブも珍しいが、雰囲気も居心地もいい。ここでビールでも飲みながら聴けたらどんなにいいだろうかと思う。まず敬和学園大学のビッグバンド「Jazz Quest」による演奏があり、続いて名古屋より来演の高島田孝之クインテットという、去年と同じ組み合わせ。この2組が昨年同様素晴らしい演奏を披露して、百数十人はいたと思われる観客を大いに楽しませた。去年とちがう点と言えば、去年がピアノの高島田さんとベースの古川真帆さんというデュオだったのに対して、今年は高島田さん真帆さんに加え、テナーサックスの平林可蓮さん、トロンボーンの松末千佳さん、ドラムスの妹尾(せお)武さん、という豪勢な5重奏だったこと。このクインテットが素晴らしかった。やはりわたしには真帆さんのベースが一番の聴きどころ。今年もブンブンうなるベースランニングを楽しませてくれた。前半最後に、マッコイ・タイナーの「Fly With The Wind」が飛び出したのにはびっくり。高島田さんはマッコイがお好きとのことで、会場で買った3枚目のアルバムにも、マッコイの曲が2曲(Passion DanceとFly With The Wind)が入っていてうれしかった。6月8日(土)には、高島田さんとテナーの可蓮さんがデュオで楽屋ライブに来てくれる。これまた実に楽しみ。

4/29(月)。
千葉から友人夫婦が来訪。夕食に皆で料理を作り合って楽しんだ。リョウくんが作ってくれた中華風のおひたしが実にうまい。「白灼菜心báizhuó càixīn」と言う広東料理で、日本語にすれば「湯通しした菜っ葉」という感じだろうか。この時期村上に出回っている菜っ葉、カワナガレをさっとゆでて皿に盛りつけ、ショウガと多めの油を熱して砂糖と醤油で味付けしたタレをかけるだけで、見事に大陸の味になるから不思議だ。

5/1(水)。
朝、遠藤ミチロウさんの訃報。昨年11月、ミチロウさん本人がすい臓がんを公表して以来、ライブ活動の再開は正直言ってむずかしいかもしれないと思っていたが、夏に手術もして、自宅療養されているとのことだったので、今後は無理せずゆっくり静かな生活を送ってもらえたらと思いながらも、この知らせを聞くのがずっと怖かった。

昨年の暮れ、村上の鮭料理が好きだったミチロウさんに塩引きや昆布巻きを送ると、すぐに「美味しくいただきます!いろいろご心配おかけします。闘病頑張って復活します。また楽屋で歌いたいです」という力強いメールをいただいた。わたしは勝手ながら、これは具合がいいのかもしれないと少しほっとしたのだったが、結局そのやりとりが最後となってしまった。

2010年10月7日、ミチロウさんは初めて村上にやって来た。出迎えた村上駅の改札でのミチロウさんの笑顔と、そのときの極度の緊張は、今でも鮮明に覚えている。それから楽屋で一服しながら、いろいろなことを話した時間は、感動的ですらあった。スターリンのボーカリストとはあまりにもイメージがちがいすぎて、何だか奇妙な感覚になりながら、ミチロウさんがおだやかに語る学生時代の話に聴き惚れた。その夜、ミチロウさんは激烈なライブを楽屋で繰り広げた。あのときほど観客が熱狂し、わたしが熱狂したライブというのは、おそらく後にも先にもないかもしれない。

2010年の初来演以来、2011年10月、2012年11月のクリームライブ、2013年11月、2017年には4月と12月の2回、そして昨年6月と、病と闘いながらも村上に足を運んでくれたミチロウさん。演奏もさることながら、ミチロウさんの最大の魅力は、あの人柄と語り口にあったと思う。また会いたかった。もっと話を聴きたかった。

楽屋 GAKUYA

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